Ashlasの考察 【ELDEN RING】

エルデンリングの考察

「陰謀の夜の真相 ラニの真意・ミケラの悲願・交差する二人の思惑」エルデンリング考察13

 

 破砕戦争で、デミゴッド達は互いに争い合っていた。しかし、戦争の原因は明らかではない。

 

 誰が誰となぜ手を組んでいて、誰が誰とどう対立していたのか。

 

 話が入り組んでいて理解が難しい上に、その答えやヒントはあまり得られない。

 

 ミケララニ。この二人には一見ほとんど関係がない。

 ところが、考察を進めていくと驚愕の答えが得られる。

 

 

 

 

 

対立するデミゴッド

 デミゴッド達はその多くが対立している。

 そして、その対立は破砕戦争を引き起こした。

 

www.youtube.com

 

 ストーリートレーラーにおいて、いくつかの問いが示されている。そのひとつがこれである。

 

デミゴッドたちは、何のために戦ったのか?

 

 デミゴッドたちの関係は謎である。

 

 今回は、ラニミケラに焦点を当てる。

 考察をする前に、まずラニとミケラについて事実を確認していく。

 

ラニの意図

 

 上のストーリートレーラーで白々しい語り部となっていたラニだが、彼女は陰謀の夜主犯のひとりである。

 イベントで、ロジェールに黒き刃の刻印を見せると次のセリフを聞くことができる。

 

ロジェール

"…それに、儀式の主、つまりは陰謀の世の主犯も、検討がつきましたよ"

"月の王女ラニ。王配ラダゴンと最初の妻レナラの、子供たちのひとり"

"将軍ラダーン、法務官ライカードの兄妹たるデミゴッド"

"刻印には、彼女の名が隠されていたのです"

 

 また、その後、ラニに陰謀の夜について話を聞くことができる。

 

ラニ

"死のルーンの一部を盗み、儀式により、それを神殺しの黒き刃となした"

"すべて私が、やったことだ"

 

 更には、フレーバーテキストにもラニが陰謀の夜に関わっていた旨が記されている。

 

「冒涜の爪」

死のルーンの片鱗が刻まれた岩片

 

黒き刃の力を逸らすことができる

 

陰謀の夜、法務官ライカードは

ラニから謝礼として片鱗を貰い受けた

いつか来る冒涜の時、黒き剣のマリケスに

運命の死たる黒獣に挑む切り札として

 

 また、イベントによりラニから渡される「カーリアの逆さ像」を使用するとリエーニエの神授塔に行けるようになるが、その最上層には焼けた遺体が落ちている。ここから死の呪痕をひとつ入手できる。

 

ロジェール

”月の王女ラニが、陰謀の夜の主犯ならば”

"彼女の身体には、運命の死の呪痕が刻まれているはずです"

 

 確かにロジェールの言う通りであった。

 しかし、なぜラニは陰謀の夜を引き起こしたのか。ラニのイベントでその話を詳しく聞くことができる。

 

ラニ

”…私は、かつて神人だった

”デミゴッドの中で、ミケラとマレニア、そして私だけが”

”それぞれの二本指に見いだされ、女王マリカを継ぐ、次代の神の候補となったのだ”

”だから、私はブライヴを授かった。神人の特別な従者としてな”

”…そして私は、二本指を拒んだ

"死のルーンを盗み、神人たる自らの身体を殺し、棄ててでも"

私は、あんなものに操られたくはなかったのだ

 

 ラニは二本指を拒んだ。そのために、自らの肉体を殺める必要があったようである。神はふつうの方法では死なない。どうやら神を殺めるには死のルーンが必要である。

 

ラニ

"死のルーンの一部を盗み、儀式により、それを神殺しの黒き刃となした"

 

 ここからラニの意図がわかる。すなわち、ラニは二本指を拒むために肉体を捨てようとし、そのために死のルーンを得る必要があり、陰謀の夜を起こした。

 

 ラニは陰謀の夜の主犯であり、死のルーンを盗み出したことは間違いない。

 

 ここまでで、ラニなぜ陰謀の夜を首謀したのか確認した。

 では、実際どのように陰謀の夜が起きたのかを確認していく

 

 いまだ考察は始まらない。引き続き、考察に必要な前提をそろえていく。

 

陰謀の方法

 陰謀の夜は実際どのように起きていたのか。

 再び事実を確認していく。

 

「ロジェール」

”古い黄金樹の盛期、まだエルデンリングが砕ける前”

”何者かが、黒き剣のマリケスから死のルーンの欠片を盗み”

”冷たい夜に、黄金のゴッドウィンを弑したのです”

 

”それは、歴史上はじめてのデミゴッドの死であり”

”エルデンリングが砕け、破砕戦争が起こる、その切欠になったと言われています”

 

 陰謀の夜に、ゴッドウィンが死亡している。

 しかし、陰謀の夜に死亡したデミゴッドはゴッドウィンだけではなく、ラニもそうである。

 

「死の呪痕」(一部抜粋)

だが、デミゴッド最初の死者は二人あり

呪痕は2つの欠環となった

 

ラニは、肉体だけの最初の死者であり

故に死王子は、だけの最初の死者なのだ

 

 なお、死王子とはゴッドウィンを意味する。

 先に、ラニは自らの肉体のみを死なせるために陰謀の夜を首謀したと述べた。「死の呪痕」のフレーバーテキストからは、ゴッドウィンがその犠牲になったとわかる。

 

 そして、ゴッドウィンを殺めたのは黒き刃の刺客である。

 

「黒き刃」

かつて、黒き刃の首謀の夜に

黄金のゴッドウィンを殺した刺客たちの短刀

 

その奇妙に捻れた刃には、儀式により

盗まれた死のルーンの力が宿っている

 

 黒き刃とラニは共犯だった。これは重要な事実である。

 

謎多きミケラ

 

 話が変わるが、ミケラについても事実確認を行う。

 

 恐らくミケラはエルデンリングが砕かれたのちにモーグにさらわれている。オープニングムービーで、エルデンリングが砕かれたことが言及された際に下の一枚絵が表示される。

 

モーグが恐らくミケラをさらうシーン。繭からミケラが取り出されたように見える。

 

 そんなミケラにも、何か目的があって様々な行動をしていたはずである。

 モーゴットがそう推測できることを言っている

 

モーゴット

”ああ…”

”黄金のゴドリック”

”天賦の双子、ミケラとマレニア”

”将軍ラダーン”

”法務官ライカード”

”月の王女、ラニ

 

まつろわぬ、裏切り者共

”お前たちは、皆、同じ

野心の火に焼かれた、略奪者よ”

 

 モーゴットはミケラについても「略奪者」と呼んでいるため、他のデミゴッド同様、ミケラも砕かれたエルデンリングを得たようである。

 

 では、ミケラの目的とは何か。

 

ミケラの目的

ギデオン=オーフニール

”…なるほどな。やはり聖樹は抜け殻だったか”

ミケラは聖樹に宿ろうとした

”だが完全な宿りを前に、何者かが聖樹を切開し、幼子を奪った”

”…あの言葉、どうやら事実であったらしい”

 

 ミケラは聖樹に宿ろうとした

 

 ところで、黄金樹はエルデンリングの力の現れであった。これは公式サイトのプロローグからわかる。

 

PROLOGUE

永遠の女王マリカを戴く狭間の地で

黄金樹の根源たる、エルデンリングが砕けた

 

www.eldenring.jp

 

 その力といえば、例えばプレイヤーが黄金樹から得られた結晶雫を配合した聖杯瓶を飲んでHPを回復することができる。

 

「緋色の結晶雫」

黄金樹の恵みが降り注ぐ地に

永き時の末に生じた、結晶の雫

 

「霊薬の聖杯瓶」に配合し

一定時間、HPを少しずつ回復する

 

 ミケラにとっての聖樹は、マリカにとっての黄金樹のようなものだろう。

 そして、黄金樹とは黄金律を象徴している。

 

アルター街道の三叉路の幻影(一部抜粋)

”……”

”…おお、黄金樹、黄金樹よ”

”揺るぎなく聳える、黄金の律よ”

 

 ミケラは神人である。

 そして、マリカが黄金律を始めたように、ミケラも新たに律を掲げるべく生れ落ちている。

 これはラニのセリフと、賢者ゴーリーのセリフからわかる。

 

ラニ

”…私は、かつて神人だった”

”デミゴッドの中で、ミケラとマレニア、そして私だけが”

”それぞれの二本指に見出され、女王マリカを継ぐ、次代の神の候補となったのだ”

 

賢者ゴーリー

神人とは、通常のデミゴッドとは異なる存在”

”エルデンリング、即ち女王マリカの時代が終わったとき”

”神となり、新しい律を掲げるべく、尊く生れ落ちているのです”

 

 では、ミケラの律はマリカの律とはどう違うのだろうか。

 

「ラダゴンの光輪」

黄金律原理主義の祈祷のひとつ

父ラダゴンの、幼きミケラへの返礼

 

黄金の光輪を生じ、それを広げ周囲を攻撃する

タメ仕様で、攻撃の範囲が大きくなる

 

しかし、幼きミケラは原理主義を捨てた

それが、マレニアの宿痾に無力だったから

無垢なる黄金、そのはじまりである

 

 ミケラはマレニアを救えないがために、父であるラダゴンの黄金律原理主義に背を向けたようである。

 

 ではマレニアの宿痾とはなんだろうか。

 

ゴーリー

”…マレニア様は、女王マリカと王配ラダゴンの間に、双子のデミゴッドとして産まれました”

”生まれながらに朱い腐敗を宿した、神人として”

 

 これと同じものを、ミリセントも有していたようである。

 

ミリセント

”…う、き、君は?”

”いや、誰であれ、すぐに私から離れた方がよい”

私の身体の内には、朱い腐敗が蠢いている

”…これは呪い。人が触れるべきものではないんだ”

 

 そして、最も神に近いデミゴッドですら、それを治すことが叶わなかった。

 

ゴーリー

”ミリセントの腐れ病は、不治の業病です

”かつて黄金律華やかなりし頃、最も神に近いデミゴッドですら、それを治すことはできませんでした

”しかし、抑えることはできるのです”

 

 抑えることができる。ゴーリーはそう言うが、そのために必要なのは無垢金の針である。

 そして、プレイヤーはイベントを進行することで無垢金の針を変化させ、ミケラの針となす。

 

「ミケラの針」

外なる神の鑑賞を退けるため

ミケラが紡ぎあげた無垢金の針のひとつ

 

 このことから、ゴーリーのいう最も神に近いデミゴッドとは、ミケラだとわかる。

 

 以上のことをまとめる。

 マレニアは朱い腐敗を宿していた。しかし、それは不治の病であり、ミケラは治そうとした。だが、黄金律では朱い腐敗に抗うことができなかった。そのため、ミケラは黄金律を捨て、新しい律、無垢金を掲げることとなった。その律の力の具現として、聖樹にミケラは宿ろうとした。

 

 以上が本編からわかるミケラの目的である。

 しかし、ここに疑問が残る。黄金律が朱い腐敗に無力だったことはわかる。だが、ミケラが作り上げた無垢金の針は、朱い腐敗を抑えることはできても、治すことはできなかったではないか。無垢金の律に、可能性があるようには思えない。

 

 これより考察を開始する。

 以上に述べた前提の上で考察を進めていくと、様々な疑問が解け去る。そして最後には、ミケラとラニの関係、ミケラの計画、ラニの陰謀の一端が明らかとなる。

 

ラニとミケラは協力関係にあった

 ラニとミケラ。実は見付けやすい小さな繋がりがひとつある。

 そう、ローレッタである。

 

「親衛騎士の兜」

ミケラの聖樹に仕えた騎士

ローレッタの銀鉄の兜

 

かつて、カーリアの親衛騎士であった彼女は

しろがねの安住の地を探し求め、旅に出た

そして、聖樹の未来に、それを託したのだ

 

 ローレッタは、カーリアの城館で霊体として、ミケラの聖樹の大舞台で本体が登場する。

 ラニは、そのカーリア王家の娘であった。

 

「カーリアの徽章」(一部抜粋)

かつて、カーリアの騎士の中でも

王女の直参に与えられたという徽章

当代の王女は唯一人、レナラの娘、ラニである

 

 ローレッタには噂がある。

 

「白銀の盾」

琥珀の埋め込まれた、輝く白銀の盾

聖樹の騎士、ローレッタの獲物

 

その形は、密かに雫を模しているといい

つまらぬ噂の原因ともなっている

「ローレッタはしろがね人である」

 

 余談だが、ローレッタの盾に琥珀が埋め込まれている。琥珀の象徴である。セルブスのイベントで入手できるアイテム「琥珀の星光」にそれが示唆されている。

 

琥珀の星光」

琥珀色に輝く、儚い細片

束の間に流れた星光の残滓

 

星光が運命を司るとすれば

琥珀色のそれは、神々の運命であるとされ

特別な製薬の材料となる

 

人の身で口にすることはできない

 

 また、レナラの生まれなきデミゴッドは琥珀であった。

 

 を象徴とする琥珀と、しろがね人を象徴する白銀の両方をあしらった盾を持っていたのは、ローレッタがミケラをしろがね人の救いと見ていたからではないだろうか。

 

 ミケラは、弱き者をこそ祝福する。

 

「聖冠の鉄兜」

無垢金の頭冠が付けられたもの

 

聖樹に使える雑兵たちの装備

 

名も無き者、弱き者をこそ

ミケラは祝福する

 

 しろがね人は狭間の地において差別的な扱いを受けていた。

 

「しろがね壺」

儀式壺を使った製作アイテムのひとつ

カッコウの魔術が施されている

 

FPを消費して敵に投げつけ

一定時間、聖杯瓶による回復を阻害する

 

カッコウたちは嘯くだろう

とくと見よ。お前たちの血の穢れたるを

こんなものが、まともな生命に流れるものか

 

 しろがね人のアルバス老は、ミケラの聖樹を約束の地と呼んだ。

 

「アルバス老」

”我らしろがね人には、約束の地があるのじゃ”

”先ほどの割符は、その地に至るための、鍵なのじゃよ”

 

 ゲーム本編では、アルバス老からもらえる割符をもちい、ミケラの聖樹に向かうことができる。

 ここまでで、しろがね人はミケラに救いを求めていたことがわかった。

 

典礼街オルディナ

 また、ゲーム本編でミケラの聖樹に到達するには、典礼街オルディナを経由する必要がある。その道のりの聖別雪原には第一世代と第二世代のしろがね人が多くいる。

 典礼街オルディナには霊体のしろがね人が多くおり、また、封牢に入ると実体のしろがね人に攻撃を受けることとなる。

 

 ここで、驚愕の敵と遭遇する。

 黒き刃である。

 

 封牢の中には、姿が見えない敵がいる。そこで歩哨の松明を使用するかその敵から掴み攻撃を受けるかするとその敵が何者か明らかになるのだが、それが黒き刃の刺客である。

 

 また、オルディナの裏には黒き刃の刺客が倒れている。(ここで黒き刃の刺客の装備を入手することができる。)

 

オルディナの裏で倒れている黒き刃の刺客

 

 しろがね人黒き刃の刺客は協力してミケラの聖樹に至る道を守っているのである。

 

 前述したとおり、黒き刃の刺客は陰謀の夜の実行犯である。つまり、ラニとも協力関係にあった。

 

 黒き刃とローレッタ。恐らくどちらもラニミケラ両方と協力していた。

 

 そしてそのことから、かつてラニとミケラも協力していたことがわかる。

 

 ゲーム内でラニとミケラの関係はほとんど語られないため、これは非常に驚愕の事実である。

 

 しかし、おかしい。

 

 ラニは黒き刃に狙われていた。

 

ラニと黒き刃の関係

 ラニイベントを進めていくと、イベント終盤で、半狼ブライヴが二本指の呪いに狂いながらもラニの魔術師塔の前で黒き刃を倒したことが明らかになる。

 

 また、その後、軍師イジーが黒き刃と戦闘し、共倒れた様子を目撃することとなる。

 

 そう、共犯だったはずの黒き刃に、ラニは狙われていたのである。

 

 魔女ラニはイベントの途中で、プレイヤーに重々しい話を切り出す。

 

魔女ラニ

”私は魔女ラニ。かつて死を盗み、今も暗き路を探している”

”そしていつか、すべてを裏切り、すべてを棄てるだろう”

 

魔女ラニ

”…ブライヴも、イジーも、私には過ぎた者たちだよ”

”知っているはずなのにな。私の行く暗い路の先を”

”私がいつか、すべてを裏切り、棄てることを”

 

 ラニが黒き刃を裏切ったようである。

 

 イベントを進めていくとわかる通り、ラニの目的は、新たな律、それも星と月、冷たい律を掲げることであった。

 

魔女ラニ

”私の律は、黄金ではない。星と月、冷たい夜の律だ”

 

 では、裏切られた黒き刃の目的とは何だったのだろうか。

 

 少なくとも、ラニのように星と月の冷たい夜の律を掲げるつもりはなかったはずである。

 

黒き刃の目的

 黒き刃の刺客は様々な場所に出没する。マリカとの関係も示唆されているが、一旦無視する。

 

 先述の通り、黒き刃は典礼街オルディナに出没した。ここから、しろがね人と黒き刃は協力関係にあるとわかる。

 

 そして、黒き刃のルーツは永遠の都である

 

「ロジェール」

”以前お話しした、黒き刃の陰謀の夜”

”その実行犯は、永遠の都の末裔たる、暗殺者だと言われています”

 

 また、しろがね人のルーツも、恐らく永遠の都にあると考えられる。

 これは以前私が考察したこちらの記事をご覧になるとわかります。

 

ashlas.hatenablog.com

 

 永遠の都の民は夜の王を欲している。

 

「ノクス僧の鎧」

大古、大いなる意志の怒りに触れ

地下深く滅ぼされた、ノクスの民は

偽りの夜空を戴き、永遠に待っている

王を。星の世紀、夜の王

 

 夜の王とは一体なんなのだろうか。

 様々な要素から考察すると、椅子廟に座る巨大な骸骨が夜の王と考えられる。

 

椅子廟と巨人の骸骨

 

 夜の王の正体については私が以前こちらの記事で述べました。ご一読になると、その根拠がわかります。

 

ashlas.hatenablog.com

 

 ところで、永遠の都にはノクステラに一体、ノクローンに一体、合計で2体もの竜人兵がいた。

 

 竜人兵はこの巨人の骸骨を守るようにプレイヤーに立ちはだかる。

 古竜は、王の守りの象徴であった。

 

「竜印の盾のタリスマン 」(一部抜粋)

黄金樹なき先史時代の主たる古竜は

王を守る、巌の壁であったという

故に竜姿は、あらゆる護りの象徴である

 

竜人

 竜人兵をよく見てほしい。

 竜人兵はぼろきれながらも服を着ている。これは他の竜にはない特徴である。

 

 どこかで見たような気がしないだろうか。

 

貴きものの英雄墓の敵

 

 竜人兵は足が悪そうに、這うように動く。

 この敵も、足が悪いのか、這うように動いている。

 

 また、汚れているが、服装はどちらも青と赤である。

 

 更に、意味深なことに、この敵の目の色は青色である。

 

貴きものの英雄墓の敵。目が青い

 

 エルデンリングの各地の敵をよく観察するとわかるが、黄金律の下にある敵は、みな目が黄金なのだ。

 

 なお、この敵は恐らく王族の幽鬼の従者という名称である。

 

 王族の幽鬼とは下の画像の敵の名称である。戦闘では非常に厄介で、声も動きも特徴的な雑魚敵である。

 

聖樹の支え、エブレフェールの王族の幽鬼


 そしてこの敵は、回復祈祷を用いるとダメージを与えられるという特徴がある。

 この事実は、ゲーム内のアイテムから確認できる。

 

「幽鬼について」

地を這う王族の幽鬼たちやその従者たちは、呪われている。

彼らは、回復の力により傷つく

 

 貴きものの英雄墓の敵もそうである。

 

貴きものの英雄墓の敵。回復祈祷で傷つく。

 

 このことから、この敵は王族の幽鬼の従者と言えそうである。

 

 なぜ呪われているのかも興味深いが、今回はそこに立ち入らない。

 これらのことから、王族の幽鬼、王族の幽鬼の従者、竜人兵は同じ陣営に属していると言えそうである。

 

 (この従者が四本の腕を持っていたのは、ラニが肉体を棄てた後に体として使っていた、青い少女人形が四本の腕を持っていたことに関係していそうである。)

 

 根拠はまだある。

 

 貴きものの英雄墓は他のダンジョンとは違い、入り口をボスが守っていた。

 そう、そのボスとは、黒き刃の刺客である。

 

 ロージェルの発言だけでなく、その他の証拠からも黒き刃は永遠の都にルーツがあると考えられるのである。

 

 先ほど、永遠の都が夜の王を求めていて、過去の王は椅子廟に座っていると述べた。その椅子廟には空席のものもある。

 

 その背もたれの模様を見てほしい。

 

椅子廟の模様

 

 椅子廟の背もたれは、根の模様のようである。

 

 驚くことに、これは典礼街オルディナにもある

 

オルディナの祭壇

 

オルディナの祭壇。椅子廟の模様によく似た模様がある

 

 典礼街オルディナにある祭壇には上のような模様が描かれている。
 下半分が欠けているが、ノクステラ、ノクローン、サリアの椅子廟と同じ模様と言えるだろう。

 

 オルディナの封牢の中に入ると、この祭壇にミケラの像が乗っている。

 

 このことから、ミケラ、しろがね人、黒き刃の刺客は、永遠の都と同じ理想を抱いていると言えるだろう

 

ラニはなぜ信用されたのか?

 話は変わって再びラニについて語る。

 

 ラニは月にゆかりがある。それも、冷たい月に。

 

ラニの暗月」(一部抜粋)

母レナラに手を惹かれ、幼いラニが出会った月

それは、冷たく暗い神秘の月であった

 

 マヌス・セリスの大教会からは、白い月の他に、もうひとつ黒い月を見ることができる

 ラニの言う冷たい月、つまり暗月とは、恐らく永遠の都の失った黒い月そのものである。

 

「ノクステラの月」(一部抜粋)

それは、彼らが失くした黒い月を模している

 

 ラニの目的は、永遠の都の理想と重なるところがある。

 

魔女ラニ

”私の律は、黄金ではない。星と月、冷たい夜の律だ

 

 これゆえに、黒き刃に信用されたのではないだろうか。

 

 だが、ラニは彼らに離反した。

 

ラニ

”私は魔女ラニ。かつて死を盗み、今も暗き路を探している”

”そしていつか、すべてを裏切り、すべてを棄てるだろう”

 

ラニ

”そして私は、二本指を拒んだ”

”死のルーンを盗み、神人たる自らの身体を殺し、棄ててでも”

”私は、あんなものに操られたくはなかったのだ”

 

ラニ

”私の律は、黄金ではない。星と月、冷たい夜の律だ”

”…私はそれを、この地から遠ざけたいのだ”

”生命と魂が、律と共にあるとしても、それは遥か遠くにあればよい”

”確かに見ることも、感じることも、信じることも、触れることも”

”…すべて、できない方がよい”

”だから私は、律と共に、この地を棄てる”

 

 ラニの真意は、ほんの少し重なるところはあったようだが、ミケラ、しろがね人、黒き刃の刺客たちとは、大きく違った。

 

しろがね人の目的

 ラニの真の目的は、フレーバーテキストとセリフを見ればわかることである。

 また、黒き刃の刺客は永遠の都の末裔であり、夜の王を求めていると思われる。

 だが、しろがね人の目的とはなんだろうか。

 

 そして、ミケラの目的とは何だろうか。

 

 先述の通り、しろがね人はミケラの聖樹を目指していた。

 

「アルバス老」

”我らしろがね人には、約束の地があるのじゃ”

”先ほどの割符は、その地に至るための、鍵なのじゃよ”

 

 しろがね人は差別的な扱いを受けていた。

 ミケラの聖樹は、しろがね人にとっての安住の地だったのだろうか。

 

 恐らくそれ以上だった。

 

 ミケラの聖樹や、聖樹の支えエブレフェールには、大量の繭がある。

 

エブレフェールの繭

 中には、このような繭もある。

 

エブレフェールの繭 形が不完全なものがちらほらある

 近づくと、奇妙な形をしている。

 

エブレフェールの繭。人型である。

 繭は、人の形をしている。

 

しろがね人

 

 この痩身や、足がほぼ無いことなど、しろがね人の体形に非常に似ていないだろうか。

 

 ミケラが繭に宿ったように、恐らくしろがね人も繭に宿った。

 繭はガが成虫へと変化するためのさなぎであり、彼らもいつか変身するのだろう。

 

ミケラの目的

 ミケラは弱きものをこそ祝福する。

 

「聖冠の鉄兜」

無垢金の頭冠が付けられたもの

 

聖樹に使える雑兵たちの装備

 

名も無き者、弱き者をこそ

ミケラは祝福する

 

 だからこそ、しろがね人を受け入れたのだろう。

 

 だが、ただ弱いからしろがね人を受け入れただけではなく、それ以上の理由がありそうである。

 

 しろがね人のルーツである銀の雫は、腐敗を浄化する

 

 これはこちらの記事で考察しました。こちらをご覧になるとその根拠がわかります。

 

ashlas.hatenablog.com

 

 ミケラは、マレニアの宿痾である腐敗を治そうとしていた。

 

「ラダゴンの光輪」

黄金律原理主義の祈祷のひとつ

父ラダゴンの、幼きミケラへの返礼

 

黄金の光輪を生じ、それを広げ周囲を攻撃する

タメ仕様で、攻撃の範囲が大きくなる

 

しかし、幼きミケラは原理主義を捨てた

それが、マレニアの宿痾に無力だったから

無垢なる黄金、そのはじまりである

 

 ミケラは腐敗を抑えることができた

 

無垢金の針(一部抜粋)

外なる神の干渉を退けるための呪具であり

不治の宿痾、腐れ病を抑えるという

 

 腐敗を抑えることができても、治すことはできなかった。

 

ゴーリー

”ミリセントの腐れ病は、不治の業病です

”かつて黄金律華やかなりし頃、最も神に近いデミゴッドですら、それを治すことはできませんでした

”しかし、抑えることはできるのです”

 

 ミケラは、腐敗を浄化する銀雫に可能性を見出し、しろがね人を受け入れたどころか、むしろ、しろがね人を歓迎したのではないだろうか。

 

 ところで、腐敗治すことのできるアイテムが存在した。

 

腐敗の苔薬

「腐敗の苔薬」(一部抜粋)

洞窟苔を用いた朱色の丸薬

製作可能なアイテムのひとつ

 

朱い腐敗の蓄積を軽減し、腐敗状態を癒す

 

 こちらのアイテムは、夜露のヘルバ、洞窟苔の結晶、聖血の木の芽の3つから作成できる。

 夜露のヘルバは、永遠の都の周辺でしか入手できない。

 また、聖血の木の芽は、恐らくミケラに関係する。

 

夜露のヘルバ

「夜露のヘルバ」

偽りの夜に育つヘルバ

アイテム製作に用いる素材のひとつ

永遠の都と、その近辺で見られる

 

うっすらと星の光を放ち

神秘的な露に濡れている

 

 神秘的な露とは、永遠の都の近くでしか夜露のヘルバが入手できないことからして、恐らく銀雫だろう。

 

聖血の木の芽

「聖血の木の芽」

鮮血を含んだ、育つことのなかった若芽

アイテム製作に用いる素材のひとつ

 

かつて、幼き聖血を与えられ育てられた若芽が

その原種であるという

 

 ミケラ永遠に幼い。そして、その血を分けられたなら、育つこともなさそうである。そもそも、聖なる、と評されている時点で神に近しい存在のことである。また、このアイテムから作れるもうひとつのアイテム「誘惑の枝」のテキストからして、聖血の主とは、ほぼ確実にミケラだろう。

 

 そう、銀雫ミケラのふたつがあれば、意図して腐敗を癒せるのである。

 

 ミケラは無垢金の律に銀の雫を取り入れようとしたのではないだろうか。

 

まとめ

 ここまでで、事実確認と考察が長く続いた。

 それをまとめる。

 

  • ラニとミケラは一見無関係だが、実は深い関係にある
  • しろがね人と黒き刃の両者が、ラニとミケラの両方と協力関係にあった
  • よって、ラニとミケラは協力関係にあった。

 

  • ミケラは、現在の黄金律に背を向けた。
  • 無垢金の針は腐敗を抑えられるだけで治せない。
  • 銀雫は腐敗を浄化する。
  • 銀雫とミケラの血があれば腐敗を治せる。
  • ミケラの目的のひとつは、恐らく無垢金の律に銀雫を取り入れることだった。

 

  • ラニは銀雫を生む冷たい月に近しく、それゆえに信用された。
  • しかし、恐らくラニはすべてを裏切った。
  • ラニの真の目的は、星と月、冷たい夜の律を掲げることだった。

 

深まる謎、新たな謎

 これまでの考察で、共犯だったはずのラニと黒き刃が対立していた理由と、ミケラの目的が明らかになった。また、ラニとミケラがかつて協力関係にあったと考察した。

 

 しかし、いまだ多くの謎が残されている。

 

 例えば、なぜ、ゴッドウィンが最初に死ぬことになったのだろうか

 

ソール城砦の幻影

”…申し訳ありませぬ、ミケラ様

”まだ、”太陽は蝕まれませぬ。我らの祈りが弱いばかりに”

貴方の友は、魂無きままなのです…”

”…もう、見ることとは叶わないでしょう

貴方の聖樹を

 

 魂無きままの者というと、恐らくゴッドウィンである。

 

「死の呪痕」

月の王女ラニの、棄てた肉体に刻まれた呪痕

百足傷の欠環とも呼ばれる

 

呪痕は、デミゴッド最初の死に刻まれ

円環を成すはずである

 

だが、デミゴッド最初の死者は二人あり

呪痕は2つの欠環となった

 

ラニは肉体だけの最初の死者であり

ゆえに死王子は、魂だけの最初の死者なのだ

 

 ラニは黒き刃に死のルーンを込めた張本人である。

 

「黒き刃の刻印」

陰謀の夜、何者かが

黒き剣のマリケスから死のルーンの一部を盗み

暗殺者たちの刃に、その力を宿した

 

これは、その儀式の刻印であり

陰謀の真実が潜んでいるという

 

ロジェール

"…それに、儀式の主、つまりは陰謀の世の主犯も、検討がつきましたよ"

"月の王女ラニ。王配ラダゴンと最初の妻レナラの、子供たちのひとり"

"将軍ラダーン、法務官ライカードの兄妹たるデミゴッド"

"刻印には、彼女の名が隠されていたのです"

 

 ラニの手により、ゴッドウィンが肉体だけ死ぬ羽目になったのだとわかるが、ラニ自身はゴッドウィンに恨みがあったとは思えず、誰でもよかったように思える。では、誰の計画でゴッドウィンが最初に死ぬ羽目になったのだろうか

 

 そして、私の考察が正しければミケラはゴッドウィンをも殺めようとした。ミケラはなぜ、ゴッドウィンを標的にしたのだろうかそれとも、黒き刃はミケラを裏切ったのだろうか。

 

「黄金の墓標」

デミゴッド最初の死者たる

黄金のゴッドウィンを弔う墓標剣

 

少年の静かな祈りが込められている

兄様、兄様、正しく死んでくださいな

 

 話は変わるが、しろがね人にはまだ謎がある。しろがねのラティナのイベントのセリフを見る。

 

しろがねのラティナ

”さあ、我らの大きな妹よ”

”受け入れて遅れ、最初の雫を”

”そして命を為しておくれ。我らすべてのしろがねのために”

 

 彼女はイベントで、この大きなしろがね人に雫を捧げている。

 

大きなしろがね人。ラティナが雫を捧げている

 

しろがねのラティナ

”…ありがとう貴方”

”ようやく、使命を果たすことができた”

 

 ラティナが捧げていた雫とは、雫の幼生のことだろうか? それとも、ただの銀雫だろうか?

 

 大きなしろがね人といえば、永遠の都の巨大な骸骨を想起させられる。私はこれを夜の王であると考察した。

 

永遠の都の巨大な骸骨

 

 ミケラは恐らく男性で、神である。エルデンリングにおいて、神と王は対になる。

 マリカとゴッドフレイ、レナラとラダゴン、マリカとラダゴンラニとプレイヤー、ミケラとモーグ

 

 このしろがね人は、夜の王になるのだろうか。

 

 そして、更にまた別の疑問が浮かぶ。

 マリカも陰謀の夜に加担していたようだ。

 

黒き剣のマリケス

”マリケスは、神人に与えられる影従の獣であった”

”マリカは影従に、運命の死の封印たるを望み”

”のちにそれを裏切ったのだ”

 

 マリカの本当の目的は何だったのだろうか。

 そして、マリカは陰謀の夜を本来どのように計画していたのだろうか。

 

 記事執筆中の現在、エルデンリングのDLCを待っている。

 いずれ謎が解ける日が待ち遠しい。

 

 以下、関連する考察です。

 

ashlas.hatenablog.com