Ashlasの考察 【ELDEN RING】

エルデンリングの考察

「腐敗と暗月 マレニアと永遠の都の妖精 ミケラの夢」エルデンリング考察11


 エルデンリング本編では様々な陣営が黄金と対立している。

 黄金律ラダゴンとレナラが婚姻を結ぶまで、レアルカリアとローデイルは争っていた。巨人の火は黄金樹陣営により禁域の先に封じられていた。黄金律原理主義者Dは死に生きる者を正そうとし、死に生きる者を想うフィアに手にかけられる。

 こうした黄金の争いに気を取られて他の対立を見逃しかねない。そこに焦点を当てる。

 恐らく、腐敗暗月は対立している。今回はこれを考察する。

 

 破砕戦争がなぜ起きたか考える一助となるかもしれない。

 また、黒き刃の刺客がなぜ陰謀の夜を起こしたのか、そのヒントが得られる。

 

 

腐敗

 腐敗といえばマレニアである。

 マレニアは生まれながらに腐敗している。

 

ゴーリー

…マレニア様は、女王マリカと王配ラダゴンの間に、双子のデミゴッドとして生まれました

生まれながらに朱い腐敗を宿した、神人として

 

 マレニアは右腕が義手、両足が義足である。マレニアが欠け身と呼ばれるゆえんである。

 

マレニアは左腕の他はすべて義肢である

 

 腐敗宿痾としてマレニアを蝕んでいるようである。

 

義手剣士の伝承

英雄の伝承が刻まれたタリスマン

技量を高める

 

生まれながら宿痾に侵された少女は

師と、彼の流水の剣と出会い

無双の翼を得たという

 

 マレニアの双子の兄ミケラは、無垢金の針を作ってマレニアの腐敗を抑えていた。無垢金の針は体に刺して入れるようである。

 

無垢金の針(一部抜粋)

外なる神の干渉を退けるための呪具であり

不治の宿痾、腐れ病を抑えるという

 

 ところが、マレニアは破砕戦争においてラダーンとの戦いでこれを折り、エオニアの花を咲かせている。

 2:41 で、マレニアは右肩に自らの刃を刺している。初見では奇妙に思えたが、体に刺した無垢金の針を折っていると考えれば、その直後にエオニアの花が咲いたこととも整合する。

 

youtu.be

 

ケイリッド 剣の碑

エオニアの戦い

ラダーン、マレニアと相討ち

朱い腐敗の花が咲き誇る

 

 また、無垢金の針は腐敗の病を抑えることはできても、治すことはできないようである。無垢金の針を探してくれるよう願うゴーリーの発言からわかる。

 

ゴーリー

かつて黄金樹華やかなりし頃、最も神に近いデミゴッドですら、それを治すことはできませんでした

しかし、抑えることはできるのです

…貴方様には、そのための針を探して頂きたいのです

 

 ところで、マレニアは流水の剣技を体得している。名高い水鳥乱舞はそのひとつだろう。

 

義手剣士の伝承

英雄の伝承が刻まれたタリスマン

技量を高める

 

生まれながら宿痾に侵された少女は

師と、彼の流水の剣と出会い

無双の翼を得たという

 

 本作において、流水は腐敗に抗することができるようである。

 また、流水の象徴である。

 

青布の頭巾

遊牧の民の剣士の頭巾

布地のは、清涼な流水の象徴であり

その件もまた流れる水がごとくである

 

停滞はやがて淀みとなり、腐りゆく

常に流れゆき、留まることなかれ

 

 流水の剣士の剣を模したものはプレイヤーが使うこともできる。

 

流水の曲剣

青布の剣士の伝承に語られる

流水を模したという曲剣

 

強攻撃の踊るような連撃に

伝承の片鱗を見ることができる

 

 マレニアの師である青布の剣士にも、師がいた。

 青い踊り子である。

 

青い踊り子

青衣の踊り子を象った布人形

とても古い、伝承の遺物

 

装備重量が少ないほど、攻撃力が高まる

 

青衣の踊り子は、妖精であったという

妖精は、盲目の剣士に流水の剣を授け

古き神、腐敗を封じたと伝わっている

 

 青い踊り子は古い神である腐敗を封じている。

 封印された古い神は、エインセル河の下流、腐れ湖に封印されている。

 そして古い神は外なる神の一柱であるとわかる。

 

地図断片:腐れ湖

腐れ湖の地図断片

 

エインセル側の下流に広がる腐れ湖は

外なる神の一体、その神性の

封印の地であったという

 

 腐れ湖では水が停滞し、淀んでいる。この場所の腐敗は、ケイリッドのものよりもダメージが大きい。

 

 腐れ湖の先へ進むと、大回廊へ出る。

 大回廊の深部から石棺に入ることで、暗黒の落とし子アステールのいる場所へ辿り着く。

 

大回廊



大回廊の先

 

 アステールのいる場所は、腐れ湖より更に下流にあるのだが、水が透き通っている。

 

暗月

 冒頭で、腐敗暗月が対立していると述べた。

 この対立に焦点をあてると、非常に興味深い考察が得られる。

 

 ここまでのまとめでは、腐敗流水が対立しているだけに思える。

 ところが、考察を進めていくと、暗月腐敗が対立していて、流水暗月に含まれると考えられるのである。

 

 考察であるため確実ではないが、可能な限り証拠を述べていく。

 

 こちらの記事の考察の上に、更に考察を重ねていきます。もしよければ、こちらをお読みになるとうれしいです。

 

ashlas.hatenablog.com

 

 この記事で次のことを述べた。

  • 暗月は永遠の都の黒い月である
  • 銀の雫は暗月の子孫である
  • 永遠の都は黒い月を崇拝していた

 

 この三つの考察を用いて、更なる考察を導く。

 

銀の球に拝跪する夜巫女。銀雫が黒い月に由来するなら、黒い月を崇拝していたと言える。

 

アリとノクス剣士

 まず、暗月腐敗が対立していることを示し、その後に流水暗月の陣営に含まれる根拠を提示する。

 最初に、アリとノクスの民の関係を扱う。

 

 永遠の都ノクステラには、アリに乗るノクス剣士がいる。

 

アリに騎乗するノクス剣士

 

 これを眠らせると、ノクス剣士が落馬し、アリとノクス剣士が戦闘し始める。

 

アリとノクス剣士の戦闘

 

 アリの目の色が落馬前後で異なっているため、恐らくアリはノクス剣士に操られていた。

 ちなみに、アリは銀雫も攻撃する。

 

 先述の通り、銀雫もノクス剣士も暗月の陣営に属する。

 対して、アリは腐敗の陣営に属する。

 これは、蟻棘の武器からわかる。

 

蟻棘のレイピア(一部抜粋)

大蟻の棘を刃となしたレイピア

朱い腐敗の毒が滴っている

 

 ここに暗月腐敗の対立が見られる。

 

竜人

 腐れ湖には動物がほとんど見当たらない。

 

 ケイリッドには亡者やカラス、犬がいた。なんと、大回廊にいる腐敗の眷属も、腐れ湖には一匹もいないのである。

 いるのは、死を操るギョロ眼のバジリスク

 そして、竜人である。

 

 竜人兵はなぜ腐敗に侵されて死ぬことがなかったのだろうか。

 

 竜人兵を倒すとさざれ石でできた竜鱗刀が手に入る。

 

竜鱗刀

古竜の不朽たる精髄、さざれ石の鱗を

研ぎ澄まし、曇らぬ刃となした得物

 

竜人兵は、竜たる者として産まれ

だがそうなることはできず

老いた竜擬きとして滅んでいった

 

 このことから、竜人兵は古竜に近しい存在であるとわかる。

 古竜はその身に黄金を宿している。

 

ファルム・アズラの古竜。鱗が剥がれて黄金が露出している。

 

 黄金は変化を拒む永遠を意味するとこちらの記事で考察した。

 

ashlas.hatenablog.com

 

 ところで、古竜の一体であるフォルサクスは、に抗っていた。

 

死竜の追憶

黄金樹に刻まれた

死竜フォルサクスの追憶

 

黄金のゴッドウィンが死王子となった後

古龍は、その友の内で死と戦い続けた

その戦いに勝利はなく、ただ蝕みだけがあった

 

 全身の鱗が黒く染まり、ところどころ黄金が露出しているところがフォルサクスの特徴的なデザインである。

 体に、永遠の象徴である黄金があるがゆえにフォルサクスはすぐには死ななかったのではないだろうか。

 

 ここで、次の考えが思い浮かぶ。

 黄金は、と同様に腐敗抑えることができる。

 無垢の針が腐敗を抑えたように、古竜はそのによって腐敗を抑えられるはずだ。

 

 竜人兵もその身の黄金で腐敗を抑えたから、腐れ湖で死ぬことがなかったのではないだろうか。

 

 と一瞬考えたくなるのだが、これは恐らく誤りである。

 

 よく観察すると、竜人兵の体のどこにも黄金はない

 

 竜人兵は竜擬きである。

 

竜鱗刀

古竜の不朽たる精髄、さざれ石の鱗

研ぎ澄まし、曇らぬ刃となした得物

 

竜人兵は、竜たる者として産まれ

だがそうなることはできず

老いた竜擬きとして滅んでいった

 

 さざれ石の鱗を持つが、黄金はない。恐らくこれが竜擬きとされる理由である。

 

 ではなぜ、腐れ湖にいながらも生きているのだろうか。

 恐らく、竜人銀の雫から生じたためである。

 

 竜人兵が銀の雫から生じたと言える根拠を述べる。

 この根拠は、しろがね人と銀雫、暗月の関係を考察した以下の記事から援用する。

 

ashlas.hatenablog.com

 

 

 第一の根拠として、竜人兵は足が弱いのか常に這うように動く。

 足が弱いといえば、しろがね人である。

 先の記事で、しろがね人銀の雫から生じた存在であると考察した。

月の系譜図

 

 同じ銀の雫から生まれたなら、足が弱いのも納得である。

 

 第二の根拠として、竜人兵は氷雷を用いる。

 

氷の雷槍(一部抜粋)

永遠の都で産まれた竜人兵は

本当の空も、雷も知らず

氷雷をその武器としていた

 

 はしろがね人の特徴のひとつである。

 どの場所でも、しろがね人第二世代は冷気の息を吐くことができる。しろがね人第一世代は、騎乗する狼に冷気の息を吐かせられる。

 また、銀雫を生じた暗月は冷たい。暗月のラニは冷気の魔術を用いる。

 

 第三の根拠として、竜人兵は永遠の都で生まれたことが挙げられる。

 

氷の雷槍(一部抜粋)

永遠の都で産まれた竜人兵は

本当の空も、雷も知らず

氷雷をその武器としていた

 

 竜人兵は本当の雷も知らなかった。

 雷を知らないのであれば、親は古竜ではないのだろう。

 では何から生まれたのだろうか。

 そう、竜人兵は銀の雫から生じたと考えるのが最も整合的である。

 

 竜として生まれたが、老いた竜擬きとして滅んだ。

 これは、銀の雫が古竜を模したと考えればしっくりくる。

 

 とはいえ、竜人兵の血は赤い。しろがね人は白い血を持っているため、これは奇妙である。

 

 ところが、永遠の都にいる銀の雫は、変化後は何であれ血が赤い。

 

銀の雫から生じたトロルは、血が赤い。

人型に変化した銀の雫も血が赤い

 

 しろがね人とは異なる生まれ方をしたようである。

 

 ちなみに、永遠の都で生まれたからか、竜人兵の一帯は永遠の都の椅子廟を守っていた

 これはこの記事で触れました。

 

ashlas.hatenablog.com

 

 

 以上三つの根拠から、竜人銀の雫に由来すると考えられる。

 

 竜人銀の雫から生じたのがわかったとして、ではなぜ腐れ湖で生きのびていたのか。銀の雫に由来するとしても、どうしてそれで生き長らえていられるのだろうか。

 これは、次のことを考察すると理解できる。

 

銀雫の浄化

 腐れ湖の先、大回廊からは、石棺に入って暗黒の落とし子アステールの場所に行くことができる。

 ここは、腐れ湖より下流だというのに腐敗の効果もなく、水が澄んでいた

 

澄んだ水

 腐敗のキノコは、腐敗した環境にしか生えていなかった。

 であれば、かつてこの場所も腐っていたのだろう。

 

 よく観察すると、腐敗のキノコからのようなものが滴っている。

 

腐敗のキノコから滴る雫

 

 これは銀の雫であると思われる。

 

 永遠の都には、恐らくこれを模した装飾が見られる。

 

天井から垂れ下がる雫の装飾

白銀樹から垂れ下がる雫の装飾

雫の装飾(拡大)

 このことから、腐敗のキノコから垂れ下がる雫は、銀の雫であると思われる。

 

 大回廊の先の場所では、銀の雫によって腐敗が浄化されていると考えられる。

 

 竜人兵が腐敗せずに生きていたのも、竜人兵の由来である銀の雫が腐敗を浄化できるためだろう。

 

 ここまで次の考察をした。

  1. アリとノクスの対立
  2. 腐れ湖で死なない竜人
  3. 銀雫による腐敗の浄化

 このどれもが暗月腐敗の対立を意味し、暗月がまさっている。

 また、銀雫は液状金属であり、流体であることが複数のテキストで強調されている。

 流水暗月の陣営に含まれることが示唆されているのである。

 

ノクスの流体剣

永遠の都の剣士たちが用いる異形の剣

針のように細い刃を持つショーテル

 

銀の雫に由来する液状金属

硬く鍛え上げている

 

 

永遠の都の妖精

 永遠の都、ノクステラとノクローン。

 どちらもすぐ近くには澄んだ河が流れている。

 

 シーフラエインセル

 

 英語版エルデンリングでは、シーフラ河Siofra riverエインセルAinsel riverと書く

 

 どちらも妖精を意味する。

 

 英語版ウィキペディアを参照する。(太字強調と略記号は私による)

 

Wikipedia Changeling

The modern Irish girl's name, Siofra, means an elvish or changeling child, deriving from Síobhra(í) meaning fairy(/fairies).

 

en.wikipedia.org

 

 Wikipedia English の changeling によれば、現代アイルランドの女性名であるシーフラ(Siofra)は、語源が妖精(fairy)であり、エルフ(elvish)や取り換え子(changeling)を意味している。

 

Wikipedia My Own Self

My Own Self, Me Aan Sel or Ainsel is a Northumbrian fairy tale collected by the folklorist Joseph Jacobs. 

It (略) tells how a fairy is outsmarted by a human child through clever wordplay.

en.wikipedia.org

 

 Wikipedia English の My Own Self (私自身)によれば、エインセル(Ainsel)とは、私自身(My Own Self)を意味し、英国ノーサンバーランド州のおとぎ話である。内容は、妖精(fairy)が人間の子供に出し抜かれてしまう話である。

 おとぎ話の内容は省くが、おとぎ話の妖精はエインセルと名乗る。

 

 エインセルシーフラ妖精を意味するとわかった。

 ここから何が考察できるのだろうか。

 

 エルデンリングにおいて、妖精という単語は一か所でしか登場しない。

 

 かつて、腐敗の神を封じた青い踊り子がいた

 青い踊り子妖精であったとされる。

 

青い踊り子

青衣の踊り子を象った布人形

とても古い、伝承の遺物

 

装備重量が少ないほど、攻撃力が高まる

 

青衣の踊り子は、妖精であったという

妖精は、盲目の剣士に流水の剣を授け

古き神、腐敗を封じたと伝わっている

 

 青い踊り子は、永遠の都に関係が深い可能性がある。

 

 銀雫は腐敗を浄化し、銀雫を生じる暗月を永遠の都は崇拝している。

 腐敗を封じた青い踊り子が妖精であり、永遠の都に近い河が妖精を意味する。

 

 もしかしたら、青い踊り子は永遠の都の民であったのかもしれない。

 

ミケラの夢

 ミケラは、マレニアの宿痾を治そうとしていた。

 黄金律や無垢金でさえマレニアの腐れ病を治すことができなかった。

 

 ミケラは弱き者こそを祝福する。

 

聖冠の鉄兜

名も無き者、弱き者をこそ

ミケラは祝福する

 

 それゆえに、しろがね人はミケラの聖樹を目指したのであった。

 だが、銀雫が腐敗を浄化するのであれば、ミケラとしろがね人はまた別の繋がりもあるのかもしれない。

 

 そして、黒き刃が陰謀を起こした理由へと繋がるのである。

 

 続く。

 

 こちらがその続きの考察記事です。ミケラとしろがね人、そしてラニの関係について考察しています。

 

ashlas.hatenablog.com

 

 

 以下、関連する考察です。

 

ashlas.hatenablog.com

 

ashlas.hatenablog.com

 

ashlas.hatenablog.com